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中国「社会保険法」の公布および留意点

2010年11月18日            
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2010年10月28日、全国人民代表大会常務委員会は「社会保険法」を公布しました。同法は中国における社会保険制度の基本法として位置付けられており、2011年7月1日から施行されます。

注目されるのは、同法97条によると、中国国内で勤務する外国人にも社会保険加入義務があると解釈することができます。これにより、日本人従業員およびその勤務先企業が大きな影響を受けることになります。

 2 「社会保険法」への留意点

 (1)中国の5種類の社会保険

 中国の社会保険は、A養老保険、B医療保険、C労災保険、D失業保険、E生育保険からなります。外国人従業員の場合、上海市では、2009年10月10日から外国人従業員が?養老保険、B医療保険、C労災保険への加入が認められるようになりましたが、現在までのところ、ほとんどの地域では外国人従業員については、労災保険の加入しか認められていません。

 (2)日本人従業員および勤務先企業への影響

 「社会保険法」の施行により、上述した97条に基づき、中国国内で勤務する日本人従業員も中国人従業員と同様、5種類の社会保険に加入する義務を負うことになります。社会保険に加入したくないからといって、勤務先企業との間で、社会保険の不加入、保険料の不納付に関する合意は認められません。

 具体的に、日本人従業員は自らA養老保険、B医療保険、D失業保険の保険料を納付する必要があり、また勤務先企業は日本人従業員のために5種類の保険の保険料をすべて納付する必要があります。

 具体的な保険料は地方により異なりますが、北京市では前年度従業員本人月平均賃金を計算基数とし、下表のとおりそれぞれの比率で計上しています。
 


 今まで、日本人従業員の勤務先企業は社会保険料の負担を計上しないまま日本人従業員の雇用コストを計算してきていますが、「社会保険法」の施行により、このコストを経営コストに計上する必要が生じます。

 3 その他の留意点

 (1)保険料の「二重負担」

 中国で勤務している日本人従業員の多くは、日本ですでに社会保険に加入しているため、彼らが中国で社会保険に加入すれば、保険料の「二重負担」になるのではないかと懸念されています。これを解決するために、日本と中国との間に、社会保険の二重加入の回避に関する二国間協定の締結は必要となります。

 (2)享受不可能な養老保険待遇

 また、「社会保険法」によると、養老保険待遇の享受には15年間の保険料納付が要求されます。しかし、ほとんどの日本人従業員がこの要求を満たすことができないと思われます。彼らが最終的に帰国する場合、保険待遇を享受できるのか、と懸念されています。

 (3)無意味な失業保険

 日本人は中国で仕事を失った場合、就業許可を取得することができず、ひいては就業ビザも更新できなくなります。この場合、中国に滞在することができなくなるため、彼らの失業保険待遇のの実行性について疑問が生じてきます。また、事実上、ほとんどの日本人駐在員が日本本社からの出向であり、中国で失業する可能性はほとんどないことから、失業保険の加入は事実上無意味に終わる可能性が高いです。

 このように、「社会保険法」の公布を高く評価すべき一方、外国人従業員への適用を考慮し、関連規則の制定や二国間協定の締結などの法整備も急務であると思われます。日系企業として、関連法整備の動向に引き続き留意すべきでしょう。

作者:韓晏元 潤明法律事務所パートナー弁護士 神戸大学博士(法学)
作者: 李航  潤明法律事務所弁護士 神戸大学法学修士(同大学法学研究科博士後期課程中退)

 

 


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